イギリスの銀行経営者の77%が「AIが今後の勝敗を決める」と回答

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イギリスの雑誌『エコノミスト』の調査部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」(EIU)が行った調査によると、今後数年間の銀行業界において、サイバーセキュリティを除いて最も重点の置かれるIT投資は人工知能(AI)である、という結果が出た。

 

サイバーセキュリティがIT投資の主要なポイントであると答えた経営者は合計35%。それに続く33%がAIプラットフォームを優先すると答えている。

 

各銀行では、顧客サービス向上のためのIT投資の重要性を認識しており、さまざまな顧客に対応したサービス提供ができるAIの可能性に前向きな見通しを持っている。

 

また回答した銀行経営者の約77%が、今後はAIが勝者と敗者を分けると回答。

 

そのAI投資の中でもデジタルによるアドバイザリー業務と音声支援型のサービス提供がその大部分を占めることになるだろう、とみられている。

 

AI以外にも、今後5年間は新技術が銀行業務を牽引すると答えた銀行経営者たちは66%に上った(2019年の同調査では42%だった)。

 

全世界でこれらの質問に答えた300人のシニアエグゼクティブのほぼ半数(45%)が、顧客体験を改善し新たな収益源を導入するために、デジタルエコシステムへの転換を計画しているという。

 

これはいわゆる「DevOps」(ソフトウェアの開発と運用を組み合わせて行うもの)を活用することで、銀行がソフトウェアを開発する方法にシフトしていくことを意味する。

 

回答者のほとんど(84%)が、DevOpsがコアバンキングの変革を推進するとの見通しを持っていることも分かった。

 

また同レポートでは、新型コロナウイルスパンデミックが銀行のデジタル化を加速させたとしている。

 

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当編集ディレクター、ピート・スワビー氏は次のように述べている。

 

「小売、企業、プライベートバンクは、大手ハイテク企業や決済事業者と競合することで、魅力的なデジタル体験提供のための新技術を素早く導入し、変革していかなければならない、というプレッシャーにこれまでもさらされてきました」

 

新型コロナウイルス危機の結果としてデジタル・バンキングが急増している今、この課題はこれまで以上に急務となっているのです」。

 

例えば大手都市銀行ロイズ TSBは、わずか 5 日間で「スマートエージェント」を立ち上げ、稼働させることに成功した。

 

ロイズ TSBは、新型コロナウイルス流行が原因で銀行の支店が今まで通り稼働できない一方で、コールセンターの負担が急増していたため、顧客に適切なサービスを提供するためにIBMと協力してスマートデジタルエージェントを開発したのである。

 

2020年3月25日にエージェントが稼働してから、5日間で4万件以上のリクエストに回答している。

 

スマートエージェントは最終的にはすべての銀行システムに統合され、複雑な組織である銀行が顧客のために単一の窓口を提供できるようにする、という計画が進められている。

 

 

 

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