自撮り写真だけでその人の性格を判断できる人工知能 アプリに応用可能か
2020年5月下旬に科学雑誌「Scientific Report」に新しく発表された研究結果によると、人の性格を知る手がかりは自撮り写真の中にコード化されていると考えることができそうだ。
自撮り写真のみを用いるこのコンピュータモデルは、人の性格を他人が評価する場合よりも優れた判断を下すことが分かった。
これまでの研究では、顔の特徴と「攻撃性」や「リスクを負う度合い」といった性格との間には関連性があることが示されてきた。
しかし最新の神経科学の研究によると、人間の脳は各々の顔の特徴を処理するのではなく、顔を全体的に処理しているという結果が出されている。
ロシアの研究者たちは、顔の左右対称性や幅と長さの比率など、性格と顔全体の特徴との関連性を研究するために人工知能に目を向けた。
研究者チームは、人工ニューラルネットワークのシステムに学習させ、人間の顔の写真を分析してそこから性格を判断するように育てあげた。
この機械学習では、特定の顔の特徴と性格の特徴との間に関連性があることを示した過去の研究結果を利用。
1万2000人のボランティアに、自分の性格についてのアンケートに記入し、自撮り写真も送ってもらい、その分析を人工ニューラルネットワークのモデルを使用して行った。
ボランティア参加者は性格の “ビッグファイブ” と呼ばれる「開放的」「良心的」「外向的」「協調性」「神経質」それぞれについて自分自身を評価し回答した。
このコンピュータで複数の人の顔を分析すると、性格比較を行い、たとえばどちらの人がより外向的であるか、あるいは支配的であるかを58パーセントの確率で予測することができた。
また自撮り写真から認識できる最も簡単な性格特徴は「良心的」であるとも発表されている。
「アンケートで回答を得た“ビッグファイブ”の特徴を大規模なデータセットとし、開発したニューラルネットワークに学習させた。これにより、人間が評価する場合の信頼性の限界にとらわれなくなった」と論文に述べられている。
新しい論文の著者たちは、この研究のために開発された人工知能モデルを、マッチングアプリのプロフィール分析に利用できるとしている。
「パートナーの性格と自分の性格の一致が友情の形成、長期的な関係の満足度、特定されない状況での二人の相互作用の結果、などを予測するのに役立つでしょう」。