アルツハイマー病の患者を遠隔ロボットで診断 トヨタのヒューマンサポートロボットを使用
アルツハイマー病などを患う介護施設の入居者の健康診断に、遠隔操作で稼働するロボットが活躍する。
これは英国スコットランドのエジンバラにあるヘリオット・ワット大学の国立ロボット博物館が開発した、機械学習と人工知能を用いた技術を使用したもの。
スコットランドのブラックウッド・ホームズ&ケア社が運営する施設で、医療従事者がインターネットを介してロボットを操作し、入居者と交流する。
医師は、ロボットの目を通して患者して診察。部屋の中や部屋の間を移動し、ロボットの腕や手を操作して、より複雑な診断が可能になる。 また、24時間365日、半自律的に動作することも大きなポイントとなっている。
トヨタの開発したヒューマンサポートロボットが採用されており、すでに市場に出回っている遠隔操作ロボットと一緒に使用される。
開発者たちは、このロボットがアルツハイマー病といった認知機能障害者の定期的な監視や健康状態の評価に役立つと考えている。
この研究は、国立ロボット研究所(ナショナル・ロボタリウム)のマウロ・ドラゴーヌ博士とストラスクライド大学のマリオ・パーラ・ロドリゲス博士が中心となって進められた。
ドラゴーヌ博士は「定期健診の期間があいてしまうと、個人の身体能力や認知能力が時間とともに変化するため、処方されているケアやサポートが合わなくなる可能性があります」と指摘。
しかしこのロボットを使うことで「徹底した、かつ邪魔にならない診察」を行うことができ、介護者が「認知機能の低下をより早く発見できる」という。
さらに、この診察は「患者が家を出ることなく、また臨床医がオフィスを離れることなく」できるともポイントだ。
ロドリゲス博士は、「アルツハイマー病のような介護を必要とする病気を抱えた人を遠隔から案内し、診察し、サポートすることができるロボットが稼働し、診療活動を行う。こうした病気のために私たちが現在経験している課題が、革命的な技術によって、近い将来克服されるという確信を与えてくれます」と述べた。
ブラックウッド・ホームズ&ケア社のイノベーション部門の責任者であるコリン・フォスケットは「我が社は、お客様がより自立した生活を送れることを目指すと同時に、つねに個人の選択とコントロールを促進できるソリューションを追求しております」
「ロボット工学は『自立した生活を向上させる可能性』を持っており、今回の研究は『自立した生活を助け、お客様にとって向上した結果をもたらす』と考えています」と述べている。
国立ロボット研究所は、英国とスコットランド両政府の資金によってサポートされている。
イギリス政府のイアン・スチュワート大臣(スコットランド担当)は「国立ロボット研究所を訪問し、仮想テレポーテーション技術が医療や生活支援にどのような革命をもたらすかを実際に見ることができて、とても興味深かったです」と述べた。
またこの研究所は「ロボット工学とAIの世界的リーダーであり、この地域に雇用と投資をもたらしている」と期待を表明している。